『ハイウィング・ストロール』プロペラ機でハクスラ!

書評

皆さんは「ハクスラ」という言葉をご存知でしょうか。

ハクスラ」とはゲームジャンルの一つで、強い敵を倒してお金を集め、装備を強くしてもっと強い敵を倒す、的なやつです。

この作品は、若い男女がプロペラ機に乗って、浮獣と呼ばれるモンスターを狩り、もっと強い浮獣を倒す話です。プロペラ機でハクスラということですね。

語り口は良く言えば親しみやすく、悪く言えば陳腐な印象。「隠された世界の秘密」的な要素もありますが、ナウシカ見ないな重厚感は一切ナシ。

話は面白いですし、休日を半分使えば読破できるボリュームですので、気軽に楽しめます。

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作品概要

著者

ハイウィングストロール 』の作者は小川一水。

もともとはラノベ作家だったそうですが、『天冥の標』という作品が2018年に完結。なんと10年がかり17冊の長編SF作品だとか。ちょっと読んでみようかな…。

あらすじ

舞台は地表の大半が重素(半気体の物質)の海に覆われた世界。人々の生きる糧は浮獣と呼ばれる生き物から得ており、「ショーカ」という狩人がプロペラ機「シップ」で浮獣狩りをしています。

主人公のリオは街の不良。悪友と喧嘩したり、可愛い女の子を口説いたりと、そこそこの悪ガキです。ある日、リオは凄腕のショーカである年上の女性ジェンカに勧誘されます。はじめはしぶしぶ狩りを行っていたリオも、次第に狩りの楽しさに目覚め、成果を上げていきますが、ある日世界の秘密の一端を知ってしまい…

こんな人におすすめ

やんちゃな少年が年上の女性に導かれて冒険の旅に出かける。様々な試練を乗り越えながら成長していく。

話の大筋は冒険活劇の王道といった感じ。牧歌的ながらもどこか退廃的な世界観で、少年がレトロなマシンに乗って冒険するという世界観は、ジブリ的な雰囲気を感じます。

明かされる世界の秘密も何やらナウシカっぽい雰囲気ですが、ナウシカほど重たいものではありません。現在の世界の成り立ちが説明される程度のものです。

思うにこの作品の魅力は…

  • 少年と年上女性の冒険譚
  • 強い浮獣を倒して、シップを強化
  • もっと浮獣を目指して次の街へ

あくまでシップで浮獣を狩る冒険がメインで、終盤に明かされる「世界の秘密」はオマケのように感じられます。空を飛び、獣を狩るロマン的な要素もあり、モンハンが好きなら結構楽しめると思います。

作品を読んで感じたこと

プロペラ機の戦闘シーンは迫力アリ

ショーカが狩りに使う得物はプロペラ機(以下シップ)。シップは基本的に二人乗りで、前席が操縦と機銃による攻撃を担当し、後席は専用の標識弾を用いた「マーキング」を担当します。

さて、この狩りの方法と世界観がマッチしていて、戦闘シーンの楽しさが倍増です。

まず、世界観的にレーダーやミサイルなどはありませんので、目視で浮獣を発見したのち、機銃掃射で撃ち落とします。撃ち落とした浮獣は「回収師」が船を使って回収するのですが、ここに問題があります。

撃ち落とした浮獣に「マーキング」がないと、誰が撃ち落としたのかがわからず、報酬が払えないのです。

パイロットが撃った標的に後席が標準弾で「マーキング」することにより、ショーカの報酬が発生するという仕組みなわけです。

また、シップにもバリエーションがあり、機体の種類によって特性が異なります。

作品に登場するシップ
キアナ型
主人公達の機体。遠距離からの一撃離脱に特化している
バトラ型
いわゆるタンク。分厚い装甲に重火器を積んでいるパワー系の機体
カティル型
攻撃担当。攻撃力の高い火炎弾が扱える
クリューザ型
単座、つまり一人乗りの機体。機体が軽く、トリッキーな動きが可能 
コンテス型
大型の輸送機。遠い町や狩場に移動する際に他の機体を曳航する

それぞれの機体型が得意の戦法を持っていて、戦闘シーンでもその違いが明確に描かれています。

常に飛び回っている飛行機の戦闘シーンを文章で伝えるのは至難の業と思いますが、ストレスなく読みすすめることができ、シップによる狩りのシーンがすんなりイメージできます。

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良い素材と強い敵を求めて…

強い敵を倒して稼いだお金と剥ぎ取った素材で得物を強化。そんなハクスラのど真ん中をプロペラ機でやってみた。そんな作品です。

主人公達の機体は諸事情により、初期装備のまま(お約束ですかね)。ここから強い獲物を狩って、エンジンを交換したり、機銃を調整したり、色々と改造されてだんだん強くなっていきます。

また浮獣の種類も多く、当然強くて希少な浮獣のほうが狩りの報酬や素材としての価値も高いのです。生息環境ごとに特徴があるため、主人公達はより強い浮獣を求めて世界を冒険するわけです。

また、長期間生き残った浮獣は「二つ名」を持ち、凄腕のショーカですらチームを組まなければ倒すことはできません。

(まるでモンスターハンターのような話ですが、驚くことに『ハイウィングストロール』のほうが先に世に出ています。)

まとめ

世界の成り立ちの秘密などの要素はあるものの、サクッと読める娯楽作品です。

また、ハクスラ要素が非常に強く、モンスターハンターなどのゲーム好きなら刺さる作品です。

「強い敵を倒して武器を強化し、もっと強い敵を倒す」

シンプルで爽快感のあるお話が好きな方はぜひお試しあれ!

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